強制社会保険に関する政令158/2025/NĐ-CP

2025年6月25日に政府は政令158/2025/NĐ-CP号を公布し、社会保険法に基づく強制社会保険の実施に関するガイドラインを定めた。この政令は2025年7月1日から施行される。

本政令には、適用範囲、拠出の責任、給付の権利などに関するいくつかの改正点が含まれており、現代の経済・社会の発展状況に即して、透明性、公平性、そして実効性を高めることを目的としている。

具体的な改正点は以下の通りである。

  1. 強制社会保険の加入対象者

2025年7月1日以前と以後では、強制社会保険の加入対象に以下のような違いがある。

 

  1. 参照基準額

参照基準額とは、社会保険法に規定されるいくつかの給付制度における拠出額および給付額の算定に用いられる金額であり、政府によって決定される。

  • 基礎賃金制度が廃止される前は、参照基準額は基礎賃金と同額とする。
  • 基礎賃金制度が廃止された場合でも、参照基準額は廃止時点の基礎賃金額を下回ってはならない。

参照基準額は、以下の要素を考慮して政府が調整する。

  • 消費者物価指数「CPI」の上昇率
  • 経済成長率
  • 国家予算と社会保険基金の財政能力

現在の時点では、基礎賃金制度は廃止されていないため、参照基準額は現行の基礎賃金=2,340,000ドン/月とされる。

 

  1. 強制社会保険拠出の算定基礎となる給与

政令158/2025/NĐ-CP号7条によると、強制社会保険の拠出に用いる給与は、基本給だけでなく、労働契約に基づいて定期的に支払われる各種手当や補足的な金銭給付も含まれる。

この新たな規定は、拠出額および給付額が労働者の実際の収入水準を正確に反映することを目的としており、出産、退職、傷病その他の長期的な社会保障制度における権利保護の充実を図るものである。

 

  1. 強制社会保険の拠出一時停止に関するケース

この新たな規定は、一時的な事由が発生した場合における各当事者の責任と権利を明確にするとともに、労働者が業務を一時中断し、給与が支給されていない期間における財政的負担を軽減することを目的としている。

 

  1. 強制社会保険に関する追徴・追納規定の見直し

5.1 社会保険料の追徴・追納に関する規定の補足と改正

  • 遡及的に給与が引き上げられた場合、その差額を拠出基礎として社会保険料を追徴する。
  • 所定の期限までに拠出されていなかった場合、給与を受け取っているにもかかわらず社会保険に未加入であった個人商業世帯の世帯主および企業の管理者についても、追納の対象とする。

※以前は、政令115/2015/NĐ-CPにおいて、すでに社会保険料が拠出された月額給与が引き上げられた場合に限り、追徴が規定されていた。

 

5.2 延滞利息が発生しないようにするための強制社会保険料の追納期間の短縮

  • 新たな期限:昇給決定がなされた月の翌月末日まで。
  • 従来の規定:昇給決定日から最長6か月以内。

 

5.3 給与を受け取る個人事業主と管理者に対する利息付き追徴

所定の期限を過ぎて拠出する場合は、以下の金額を納付しなければならない。

  • 未納の強制社会保険料全額
  • 延滞利息=延滞日数 × 未納額 × 0.03%/日

 

  1. 強制社会保険と任意社会保険の両方に加入していた退職年金制度

6.1 強制社会保険が優先される場合

  • 強制社会保険の加入期間が15年(第64条)または20年(第65条)以上ある場合

=>  強制社会保険の退職制度が適用される。

 

6.2 2021年1月1日以前に任意社会保険20年以上加入済みの場合

  • 2021年1月1日以前に任意社会保険へ加入し、その期間が20年以上ある場合

=>  退職年齢:男性60歳、女性55歳。